ごあいさつ
一つしかない患者様の命のために
「365日24時間医療人」であること
医療法人社団大坪会 東和病院は、開院当初から「質の高い医療の提供により、地域に愛され、信頼される病院になる」を基本理念に掲げ、病院と患者様の相互信頼に基づく親しみのある医療を展開してまいりました。
今後はさらに高度医療を目指し診療の巾を広げていくと共に、治療成績の向上と患者様の生存率の向上を達成したいと考えております。
私が専門とする肝胆膵外科では1970年代、肝切除は術死20%、半年以内の死亡率50%であったものが、1980年代前半には術死2%、半年以内の死亡10.7%と劇的に改善されました。そして1980年後半の5年間ではほとんど手術死亡を見なくなり、1990~91年の日本肝癌研究会の報告でも日本全国の大きな病院の術死率は1%に低下しました。この頃欧米では5~6%の術死入院死率が一流施設で見られ、現在でもなお3~15%の術死率が続いております。
私が信州大学から東京大学に移って8年間1056例の肝切除例で1例も手術死亡がなかったのです。この様に劇的な生存率の改善が達成されたのは、肝流入血の間歇的遮断、門脈枝塞栓術、安全な肝切除範囲の規準、術中超音波の導入をして来たことによります。さらに系統的亜区域切除術、下右肝静脈温存手術などの新しい手術法も発表して来ました。
信州大学では生体肝移植を実施し、信州大学の第一例目は現在も元気で本邦の最長生存例となっています。また成人生体肝移植に世界で初めて成功しました。この患者さんは術後17年、70才まで元気で生存しました。
東大に移ってからも様々な手術法を行ってきました。さらにうっ血の診断法、右外側領域グラフトの開発、様々な肝静脈再建法、ドナーの温阻血下肝離断、多数肝動脈を有するグラフトの一本のみの再建などの方法を発表して参りました。これらにより、多くの外国の外科学会の名誉会員に指名されております。
私のモットーは「365日24時間医者であれ!」。
医者は〝一つしかない患者さんの命″をお預かりしているわけですから、決してなまけてはいけません。手術もスタッフをそろえて長時間(午前様になることもあります。)の手術を続けて患者さんの命を助けなければなりません。
現在は医師のみならず、患者さんも国際化しております。そうした意味で当病院もグローバルな病院に変身して行かなければなりません。
今後、今述べてきたことを念頭において、高度で安全な医療を通して皆様の生活がより健やかであるよう、職員一同心を込めて日々努力を重ねてまいります。
医療法人社団 大坪会 東和病院
名誉院長